2007年6月10日日曜日

関空にて奇妙なお土産話

ホテル日航関西空港:世にも奇妙なお土産話・関空発、アトラクション ミステリー 

南海沿線フォーラム(第5回・関西空港)

会場:ホテル日航関西空港・大会議場

主催:南海電気鉄道株式会社
    読売新聞大阪本社
    関西空港株式会社


2007年6月10日
パネルディスカッション
「旅はミステリーに満ちている」


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バネリスト
有栖川 有栖氏         ミステリー作家
井野瀬久美惠氏        甲南大学文学部教授
ダリア・アナビアン氏  法廷通訳
平田 進也氏           日本旅行カリスマ添乗員


コーディネーター
河内 厚郎氏      夙川学院短期大学教授
              はびこの大学・学長



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 河内 そしたら、4時半ごろまで司会を務めさせていただきます。
 先ほど、プーリー・アナビアンさんのペルシャ古典楽器、サントゥールの演奏を聞いていただきましたが、名前で想像がつくと思われますが、ダリア・アナビアンさん
はお嬢様でいらっしやいます。ダリアさんです。
 ダリア こんにちは。関西のペルシャ親子です。(笑)
 河内 全く関西弁ですので。といいましても、法廷通訳ですから、何か国語しゃべれるんでしたっけ。
 ダリア 英語、ペルシャ語、ヘブライ語、関西弁。(笑)
  河内 サントゥールという音楽、まだ日本にあまり知られてなかったですよね。お母様が初めてかな。
 ダリア 一度、江戸時代には、洋琴(ヤンチン)又は夜雨琴(ヤウチン)という名前で日本へ伝えられましたが、いつのまにか消えてしまいました。20世紀に入ってからは、母が初めてですね。
 河内 ですよね。ダリアさんが日本へいらしたのは何歳ぐらいの
ときですか。
 ダリア 72年、4歳だったんですけども、今みんな計算してませ
んか。(笑)
 河内 そうすると何歳以上であるということがわかってしまいま
したが。神戸のカナディアンスクールを出ておられるわけですね。
 ダリア カナディアンスクール国際学校に行きまして。
 河内 それからニューヨークの大学。
  ダリア ファッション学校へ行きまして。
 河内 ちょっとタレント活動を大阪でなさっていて。
 ダリア そちらで河内先生と出会いまして。
 河内 ラジオの旅の番組とか、そういう番組に出てらしたんです
が、そこから一遍、行方不明になったんじゃなかったですか。
 ダリア はい、世界一周して、ペルシャ絨毯の商売で失敗して、東京のイラン人に1億円騙されて・・・・。
 河内 本当に。
 ダリア 本当です。そこからがらっと、何か、警察のキャンペー
ンがあったんですよ。イラン人の不法滞在を捕まえるという。そこ
でスカウトされたんです。いや、めっちゃええアルバイトやわ、これもまた人人生経験になるわとか思ってたら、本業になってしまって、もう12年目です。             
 河内 でも、それは結構シリアスな仕事でしょう。
 ダリア どんどん深刻になっていきまして、こ
ちらの関西空港の警察署でも何度も仕事しています。
 河内 いわゆる通訳ですよね。
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 ダリア  先月、関西空港の警察署で仕事をしました。韓国で出稼ぎをしていたあるイラン人の不法滞在がばれて、韓国の警察署によってイランへ強制送還されることに なったんです。乗せられた飛行機が、関西空港経由で、そのことを彼が知ったのは飛行機の席に着いてから。隣に日本人女性がいて、片言の英語でべらべらしや べって、「ああ、何か関西に降りたいな」という気分に駆られてしまって、ふらっと女性についていったんですよ。関西空港に着いて、パスポート・コントロー ルで「観光ビザお願いします」と言っても、そんなん、いきなりもらえるわけありません。「駄目です」ときっぱり断られて、そのまま飛行機に乗って帰ればい いのに、どっかで椅子を探してきて、それを踏み台にして、ガラス張り3メートルの璧を上がって、関西空港の地図を持っていたわけでもなく、上がってくるエ スカレーターを逆走した。みんなのいるとこですよ。ほんで、外のタクシーまで出たんですよ。ええとこまで行ったんですけど・・・・
タクシードライ バーに英語が通じなかったんですよ。そこでけんかになって、警官が来て職務質問をされたんです。パスポートを見せないさいと言われて、「不法滞在やない か」と警察に発覚し捕まってしまったんです。そこで私に仕事の電話がかかってきたんです。内容を聞くと、すごいふざけているんです。イラン人は体一つで逃 げ遂せると思ったのか、ポケットには315ドル、スーツケースは空港に置いたままタクシーに乗ろうとしていた。警官が近寄ってきて職務質問をした。そこで 彼の逃走が発覚し「不法入国」で捕まった。不法入国ですから、裁判を終えて2か月ぐらいで強制送還されるんですけど、彼の持ち物をぜんぶ警察に押収され、 何もなく、あるのはトイレットペーパーだけで、それで何をするかと思えば日本語の単語を聞いては、メモ代わりに綴っている。弁護士との面会時間の大半を日 本語の勉強に当てていたんです。「そんなん書いて何するんですか」って聞くと、「今度日本に観光に来たら役に立つから」って言うです。それで「ちょっと 待ってください。あなた315ドルポケットに入れて、関西空港を出て何をしようと思ってたんですかと聞くと、「いや、ちょっと観光をして帰ろうと思ってま した」と。空港にスーツケース置いたままなんですよ。その彼は「スーツケースは僕を待っているでしょう。ちょっと観光してから帰ろうと思っていました」と 言うんです。彼は結局、強制送還されましたが、今ごろきっとまた飛行機に乗って、どこか経由して、違う女性にふらっと、別の空港に降りて行ったと思います けど。
 河内 それはのどかな話ですが、それでも一つ間違うと、例のメルボルン事件みたいにね。
 ダリア あ あ、そういうのもありましたよ。イラン人が知らない人の鞄を持ってカナダから関空へやってきました。カバンが重く検査官が開けるとカバンの内側に何キロも コカインがクッションになっていました。そのイラン人は、最後までそのカバンは、知らん人のカバンだというふりをしていました。
 河内 やっぱりね。
 ダリア はい、こんな話は切りがないほどあります。
 河内 有栖川さん、もうネタができました。(笑)
 有栖川 ありがとうございます。
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 河内 今度は井野瀬さんにお聞きします。河内 英国史がご専門の井野瀬さんは、当然イギリスには、よく行ってらっしゃるんですね。
 井野瀬 専門が大英帝国なのでイギリスが支配した地域というのを対象にしております。
 河内 旧イギリスの植民地の国々のほとんどへ出かけられたんですね。。
 井野瀬 だいたい回りました。行ってないのは、南アフリカです。西アフリカ、シエラレオネに入ろうとしたら外務省から「女一人で行くな」と言われました。
 河内 イギリスのヒースローは、使い勝手のいい空港ですか。
 井野瀬  忙しい空港です。いま五番目のターミナルができましたが、ターミナルを間違えると、えらいことになります。友人と東京外大の先生が来られるというので、ロ ンドンで待ち合わせたんです。私たちの仕事では、国内で会うより夏休に海外で会う方が多いんで、ヒースローで待ち合わせをしたところ、ターミナルを聞くの を忘れてしまって、どこから出てくるか分らなくなったんです。
 河内 で、何とかなりましたか。
 井野瀬 何とかなりませんでした。でもヒースローのよさは、街から空港まで簡単に行けることです。電車もバスも使えるし、今はラピートに似たヒースローエクスプレスがあるから短時間で行けます。結局、友人が電話かけてくるだろうと思って、ロンドンの街内でじっと待ってました。
 河内 なるほどね。やっばりロンドンの空港なんていうのは、すべてカメラに監視されているのでしょう。
 井野瀬  それは凄いです。最近はテロ絡みと言われますが、街角でも何処でも見られているというのはこんなものかと思いましたね。とにかく見られているというのが、 こんなものかというふうに思いましたね。 随分皆様も海外へ行くとき苦労されているんじゃないかと思いますけど、やっぱり世界の情勢に合わせて旅の仕方も 変えないと楽しめないですね。
 河内 それで、世界中回っていらして、使い勝手のいい空港は。
 井野瀬 オ ランダのスキポールはすごく楽です。スキポールは1か所で全部のターミナルへ行けるので間違ったら戻ればいい。ちやんと自分が思っている飛行機に乗るとい うこと、当たり前なんですが、ヒースローは結構難しいんです。それから、びっくりしたのはエジプトの空港で、時刻表ががあるようでないんです。エジプシャ ンエアーは、タイムテーブルではなく、エジプシャンタイムで、集まったら飛ぶ。そういうとこからミステリーも成立するんだけど。それに、空港内に猫がうろ うろしているんです。何とも思わず、ごく当たり前に。あと、乗り換えた空港では、カラチがミステリアスでした。トランジットで夜着いたんですが、パキスタ ンエアーは経費削減がすごくて、エンジンを切るんです。エアコンも全部切られるから、暑いし、カラチでおしぼりは出てこないし、そういうサービスは全然な いんですが、外には自由に出られます。そしたら、隣の飛行機からゾロゾロ白装束の人が出てくる。メッカの巡礼で戻ってきた飛行機なんですが、何人乗りやね んって思うぐらいの人数なんです。飛行機の乗り方、人数の数え方なんかもミステリアス。現地に行ってハラハラドキドキするのは面白いですね。なんかネタに なりそうなことはトランジットのところで起きますね。

 河内 かなりお目当てのお客さんがいらっしやるカリスマ漆乗員の平田さん…
 平田 いやあ、うれしいですね。やっと出番が来ましたね。(笑)私、
もう消化不良でございました。でも、こんな文化人の並んでいるところで、私みたいな者を入れていただいて、場違いやなと思うんですが、もう一生懸命やらしていただきたいと思います。
 河内 まず、平田さんの場合はもう、本当に平田ファンというのがいてね。
 平田 はい、ありがとうございます。もう熟年の方をお客様に・・・・・
 河内 熟年というのは何歳ぐらい。
 平田 大体40代から始まりまして、40代はまだ青年ですよ。みのもんたからいうたら子どもです。まあ50代、60代の方がトップで、まだ70代、80代、90代の方がいるんですよ。この年齢層を私、お客様としてやらしていただいているんです。その中の女性です。
 河内 お金を持っている女性ですか。
 平田 はい、もう富裕層と言われている。畳の下にいっぱいお金が敷き詰めてある。もうそれが2重になっていると、聖徳太子がちょっと湿っているというような感じである方ですね。「年金なんか要らんわ」と言う方もいらっしやいますけども。
 河内 そういう方たちに満足してもらわなければいけないんですね。
 平田  そうですね。喜んでいただいて、なんぼやと思いますからね。本当に日常お連れして、徹底的に喜んでいただくのが私の戦法で。もう奥様方をシンデレラにして あげるいうのがポイントなんです。もう、おさんどんから解放されて、食べたいときに食べる、寝たいときに寝る、遊びたいときに遊ぶ、買い物したいときに買 うというような世界、私はそのシンデレラのお手伝い役なんですよ。
 河内 だけど、みんな要求がいろいろと多岐にわたってうるさくなっているでしょう。 
 平田 もうね。奥様方は欲求というか、自分のことしか考えてませんからね。(笑)
  一人では怖くないんですけど、群れをなすと「凶暴」になるんですよ、奥様方は。ティッシュなんかでも、アコム、武富士いうて集め回って、渡せへんかったら 怒りますよ。「何で渡せへんのや、あんたも渡し方悪い。プロやったらしっかり渡せ」いうて、箱からばあっと取って、スーパーの袋へ入れて「きょうはこれく らいにしといたろ」いうて帰るのが奥さんですよ。旅先でも、自分の会席膳に甘エビが1匹足らんだけでも、もう暴れまくりますからね。これは怖いです。火の ついたように怒りますよ。
 河内 そういうとき、どうするんですか。
 平田 いやもう、「何でないんや、私に恥かかしてくれたな、平田さん。この甘エビ3匹やないの、隣4匹おるのに」いうて、「奥さん、4匹は縁起が悪い。奥さんは3匹やからいい」、「違う」いうて、「ほんで、奥さんのほうが太ってるし、グラムとしては奥さ
んのはうが勝ちです」いうたら、「違う、数や」いうて。私のやせた甘エビを2匹持ってくるんですよ。ほんだら「それでええ。わかったか、今度から気いつけや」いうてくれるんですよ。奥様は厳しいです。
 河内 だけど、それは結構リッチな奥様方・・・・。
 平田 いや、リッチな奥さんでも、食べ物の恨みは厳しいんです
そ ら、きびしいです。露天風呂と池と間違うて入ってはる人とかね。(笑)ほかの宴会場で食事している人とかがおるんですよ。これはびっくりします。「何で こっちで食事してんの」いうたら、「こっちのほうが料理よかったんや」いうて。私、探しに行ったら人数合わないんですよ、向こうに行っているから。しばら くして戻ってたら、おるんですよ。ほんなら、またそのお客さんがこっちへ来てるんですね。「お客さん、何できてるんですか」いうたら、「席がなかったん や」いうてね、こっちでまたついでもろうてるいうのがありますけどね、恐ろしいです、奥さんは。
 河内 ちょうっとブレーキかけましょう。(笑)
 平田 そうですね。私、避けてもろうた方がええと思いまた。ありがとうございました。寄席やないんですから。
 河内 お聞きしたいのは、やっぱりアイディア勝負でしょう。そういうのは普段からいつも考えているんですか。
 平田 いろいろ考えますね。今、おかげさまで、「おはよう朝日」という宮根さんにかわいがっていただき「私と行こう韓流ブームの冬のソナタ」というのが2年ほど前にやって、当たりましてね。
 河内 ああ、例の、ペ・ヨンジュンの。
 平田 そうです。8月の末いうたら、またソウルは、30度もさがりません。そんな暑いのに、マフラー巻いて(笑)イケてるヨン様の鬘かふって、ボール・スミスの眼鏡かけて。
 河内 平田さんがぺ・ヨンジュンになったわけ。
 平田  そうです。私がペ・ヨンジンンになるんですよ。「アンニョンハセヨ」いうて、「1、2、3、ヨン様」とかいうて、「奥さん行きませんか」いうて、テレビで 言うたら、奥さん方が血迷ったんでしょうね。行かな損のように、どんどん申し込みがきて、1日にして1200名ですよ。1人7万9800円ですよ。もう HISやったら2万6000円が本当の値段ですよ。(笑)それやのに、3倍もするような値段のやつをおもろいように。 
 河内 それは、具体的にどういうこところへ行かれるんですか。
 平田  チュンチョンとか、あのポプラの並木道。奥さん方は、来たらもう自分がユジンになっとるんですよ。ぱあっと、歩き方も違いチェ・ジウはそろうた。あとヨン 様だけがおれへん。私がヨン様になって行くわけですわ。あんたちょっと太っている。不細工や」いうて初めは敬遠するんですけど、辛抱たまらんようになるん でしょうね。私のことを「ヨン様」やと一人がいうたら、集団心理が働いて、私の写真撮るのに並ぶんですよ。これは怖いです。こんなんで7万9800円も払 うたらあきません。本当にありがとうございます。 
 河内 あの例のドラマに出てくる湖、ああいうとこも行くんですか。
 平田  もういっぱい行くんですよ。そこで映し出されて、奥さん、きれいでしょう、きょうは勝負着で来てはるし、ものすごいきれいですよと言うたら奥さんも喜ばれ ます。「私と一緒に湖で写真を撮りましょう」いうんです。そらもう、奥さんの着てる服いうのは、いつも安売りの、その辺の商店街で買うてるやつが、そのと きとばかりは、高島屋、大丸、三越、そんなことでぱあっと買ってくるような、叶姉妹も顔負けのような羽衣でくるんですよ。宝石も、カラットやなくグラムで つけてくるんですよ。(笑)笑うとこですよ。これ笑わんかったら最期まで笑うとこありません。
 河内 きょう、お客さんがいらっしやるんじゃないんですか。
 平田  いやまあ、中には私のツアーに来てくれた方もいらっしゃると思いますが、その方はちょっと騙されているわけですけどね。(笑)皆さん、そんなん言うたらあ きませんよ。奥さん、分りますか、帽子斜めにシュッとかぶって「おくさん、いいです。雅子さんも顔負けです。高島屋提供のもうほんと、皇室アルバムのよう な感じです。奥さん、雅子さんでしょう」いうたら、「違う、アケミや」言われて。(笑)「ごめんなさいね。雅子さんやと思いました」いうて。
 河内 そこまで言いますか。
 平田  はい、これは本気になって言わんとあかん。奥さんも見破りますからね。この人は手先だけで言うてるんやと思うて。私は褒めちぎりますよ。今のだんなさん、 ほめますか、皆さん、ほめません。もう美容院へ行っても「きれいや、髪の毛も染められたんですね。根元まできっちり染まっています」て言いませんやろ。こ んなだんなさん、あきません。私のように褒めちぎるのがええんです。きれいに化粧するの、何のためでしょう。自分では見えないんですよ。相手に見せるため に思い切り張ったり(笑)うめたりしながら高級化粧品を惜しげもなく使うんですよ。今日のお客さん、きれいですわ。この間のお客さん、ぶっさいくな人ばか りだったんです。
(笑)笑うとこでっせい、これ、すみません。
 河内 何か、カリスマ添乗員というよりは、空飛ぶホストという。
 平田 はい。まあ、綾小路きみまろが添乗員になったと思ってください。今度、先生の小説でも入れていただきたいな思うんです。
 河内 でも、本当にサービス業の原点というのを聞かしていただいたんでけど、お笑いキャラでしゃべってらっしゃるけど、そのアイディアとか気配り、大変なもんでしょうね。 
 平田  いやもう、それがなかったら、お客様はお客様のプロやから、あかんかったらびっしっと言われます。「こんな対応で、どないするんや」いうて、毎日怒られ て、怒られることやめたら、今度は認められることをどんどんつぎこんで、ほめられる、感謝されるという繰り返しですからね。やっぱりお客さんに対しては気 を使いますね。
 河内 そらそうですよ。
 平田 自分の母親や父親や思うてサービスせんと、やっぱりこれはいけません。もう小手先だけではあかんということです。
 河内 そうですか。さっき楽屋でトラべルはトラブルという言葉は、語源が同じ手、仰ってました。
 平田  そうですね。トラベルいうのが語源がトラブルなんですよ。トラブルは付きもんやいうことです。私の旅行でも殆どトラブルです。それをトラベルに変えるわけ ですから。なかなか難しいですよ、天候が悪かったり、やっぱり僕らでできへんことがあって、オーロラツアーやのにオーロラが見れんかったりとか、我々はも う針のむしろに座っているような感じです。もう殺されるかなと思いますわ、お客さんに「どこか出るのよ。どこがオーロラの思い出やの。3日も待って出えへ んやないの」いうて、昼間おわびでいろいろ、犬ぞりとか連れて行くんですよ。「こんな零下35度でどないすんよよ」いうて。お好み焼き作ったりとかするわ けですわ。「そんなん作って、あんた、よう気利くな、でも、騙されへんで、オーロラとお好み焼きは別や」いうて、厳しいです。
 河内 有栖川さん、ただ今の感想は何かありますか。
 有栖川 いや、描写が細かい。「髪の毛が根元まで染まってる」よく人間を見てらっしゃると思った。
 平田 いや、実は先生のフアンなんですよ。今日顔色がいいです。
 河内 もうあまり信用できないね。
 平田 ヘヤースタイルが先生、何ともいえません。もうちょと伸ばしたら喜太郎になると思うぐらい。(笑)
 有栖川 いやいや、もうさっき、舞台裏でも今のようなお話を伺っていて、そこまで手のうちさらしていいやろうかと思いましたけど、自信なんですね。まだきっと奥があるんでしょうね。これは実は見せてもいいところで、実はまだあるんですね。仕掛けがね、二重底、三重底で・・・
 平田 先生、考えすぎですよ。そこまで考えたら、あきません。何ぼ、ミステリー作家でも、そっから先は有料になるんですわ。(笑)先生、オプションですよ。一応、オプショナルツアーってあるんです。そこからは、また別室で先生250円で結構ですよ。(笑)
 有栖川 「お客さんはお客さんのプロです」とかね。何かもう、商人の小説に使えそうな。花登筐の小説出てきそうなことですね。
 河内 やっぱり日たらさんは天職ですわな。
 平田 ああ、そうですね。もうやってて、やっぱりお客さんを楽しませるいうことは自分の喜びにかんじれるいうのがやっぱり嬉しいですね。
 河内 ただ、やっぱり時代によって流行もあるでしょう。
 平田 そうですねん。いろんな勉強させていただいていますいろんなニュースというかね。ツアーなんかでも普通考えないツアーをね。この間考えたんは、新聞でも紹介いただいたんですが、仇討ちツアーいうね。
 河内 何ですか、それは。
 平田  あだ討ちツアー、またの名を4時間の家出いうて。女性が、北新地という歓楽街へ、男に代わって遊びに行くというツアーなんです。私の先導のもと遊びに行く わけです。高級クラブを回って、高級レストランで食事して、タクシーに乗ってニューハーフショーを見て三軒回って私についていくというツアーなんですよ。 こんなツアーが大阪で今370人キャンセル待ちがおるんです。
 これは朝日新聞とか読売新聞とか、大阪新聞とか、に紹介されたんです。それを見て 東京から参加する人がおるんです。このツアーが1万8000円ですよ。それやのに、2万5000円の交通費用とヒルトンや。難波の日航へとまって2万円ぐ らいのシングルで泊まって私のツアーへ来るんです。5万円かけて1万800円のツアーに来るんです。
 河内 出てくるニューハーフが実はあなたとか。
 平田 いやいや、そういうのもあるんでが、先生それは言わんといてください。突っ込みすぎですよ、堪忍してくださいね、ほんまに。(笑)
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 河内 ちょっと井野瀬先生にお聞きしますが、内輪ねたばっかりですが、ご亭主はパイロットでありまして。
 井野瀬  はい。全日空の機長をしております。今は、東京がベースで、パイロットの取締りや管理をしています。ちょうど航空会社のいろんなシステムを入れ替えで、航 空会社にとって使い勝手のいいトリプルセブンボーイング777という飛行機に乗っています。ロンドン、北京、ムンバイ(嘗てのボンベイ)からクワラルン プールあたりを通っています。帰ってくるのは月に三回ぐらいで、しかも必ず私が大学に行く日なので、すれ違いです。
 河内 じゃ食事なんかは?
 井野瀬 う ちは能力主義で、作れる者が食事を作るんです。結婚一ヶ月で、私はその能力がないことに気がつきました。最初に鯵の干物を焼いたんですが、多分いらちなん でしょうね、何度もひっくり返してボロボロになったのを見られて「出来ないことはしないほうがいい」と言われました。以後、夫が食事を作ってくれます。留 守の間も肉じゃがやキンピラを作って一回分ずつチンができるようにパックに入れておいてくれます。
 河内 フーン。
 井野瀬  これは主人の母が反面教師なんです。最高料理がトンカツで、しかもこげこげ。主人の実家に行ったとき、お鍋に葛きりを入れたところ「雅びやかだ」とびっく りされました。関西ではごく普通なんですが、文化の差を利用すると嫁姑関係がある部分転換できるということを発見しました。以来、その作らない母を見て慣 れている主人は、私が作らないことにも慣れているんですよ。その代わり、私は掃除が好きなんで、夫がごはんを作っている間に掃除をします。
 河内 ダリアさんはどんな食事を?
 ダリア はい、ペルシャ料理です。
 河内 それはどういうものが主体ですか。
 ダリア 羊、野菜、豆をバランスよく使う煮込み料理。ペルシャ料理は、まだあまり日本に伝わっていないんですよ。
 河内 ダリアさんは、イランのご出身ですが、イスラム教ではなくて、ユダヤ教なんです。
 ダリア 父がイスラエルで母がイランで、私はこのように2重国籍です。
 河内 一般に、今のイランのイメージだと、何かイスラム一色みたいなイメージをしてしまうんですね。でも、本当は、そうじゃないんですね。
 ダリア そうです。平田さんにペルシャ旅行を計画していただきたいですね。
 平田 はい、ぜひ。
 ダリア シルクロードの終着点、奈良の明日香出身なんですね。
 平田 お母ちゃんが明日香で生まれまして、明日香の古墳、よう堀に行きました。ほんで、こんな壷見つかったとか、兄貴とよう夜になったら行って、えらいもう盗掘ですわね。20年も昔、そんなんやってました。
 河内 どこまでがほんまか分からないわけで、遺跡盗掘ツアーというのは、それはいいのかな。
 平田 いや、遺跡いうても、ちょっと掘ってあるとこですわ。ロープ張ってあったんです。
 河内 でも、何か、瓦けみたいな土器が出てきたりとか。
 平田 そんなことで、突然ころころ出てくるわけですよ。どこ掘っても出てくるんですね。
 河内 明日香って、そんなもんですか。
 平田 ええ。二、三十年前はみんなそうやってました。今やったらあきませんけど。
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 河内 今、ダリアさんの提供ですが、そのイランツアー、これはどういうものが考えられますか。
 ダリア 奈良ってイランに縁が深いじゃないですか。
 平田 シルクロードでね。、
  ダリア ペルシャ式の石の寺や灌漑の水路が飛鳥時代の日本に伝わりました。1400年前、険しいシルクロードを何日も何日も旅をして日本に辿り着いて、ペ ルシャの文化が流れてきたのに、関西空港ができて10時間でイランへ行ける、さっぱり縁遠いものになってしまいました。
 河内 皮肉なもんですね。
 ダリア イランのことは、ほとんど知られていません。まず空港のことを知っている人はいますか。
 平田 このなかでイランへ行かれた人っておるんでしょうかね。
 河内 イランにいらっしゃった方、もしいらっしゃったら手を上げてみてください。
 ダリア 今日は、500人もいらっしゃるのに、どなたもいらっしゃらない。先ほど母、プーリー・アナビアンと一緒にサントゥール演奏をされた真衣さんだけですね。彼女は、イランに行ってびっくりしたんですよ。
 河内 というと。
 ダリア  テヘランのメヘラバ-ド空港なんですけど、もう50年前からいまだ同じ空港を使っています。本当に古い空港で、黒いペールの女性の缶詰状態、空港の外に出 るとカラスが迎えにきたような感じです。日本は、こちらの関空を20年ぐらい計画して建てましたが、イランは30年も計画し、やっと95年にホメイニー空 港が開港したんですよ。でも一日だけ、飛行機がドバイに飛んで空港が閉鎖しちゃったんです。それで、また缶詰空港に戻ってしまったんです。
 河内 どうして、そのホメイニ空港が閉まっちゃったんですか。
 ダリア それもミステリーです。(笑)
 河内 ダリアさんがイランにいたときは、今の缶詰空港にあるような真っ黒けじゃなかったわけでしょう。 
 ダリア テヘランは、ロンドンやパリと変わらなかったんですよ。
 河内 そんな華やかだった。
 ダリア  でも、イランは立て前・本音がすごく、日本人以上に輪をかけてすごいんで、建前では黒いベールをしてるんですけど、家の中に入ると、超ミニスカートをはい て、お酒を飲みながらサテライトテレビで世界中の番組を見ているんです。それも自家製のお酒。イラン人と出会ったら必ず「うちの家へおいで」って、シルク ロードのお持て成しで絶対に誘われますよ。
 平田 そんなん、民泊さしてくれるんですか。民泊というか、その家へ行けるんですか。ほんで、もうお土産にその絨毯しいてあるやつを持って帰るとか。私、ペルシャ絨毯ほしいんですけどね。
 ダリア 財布の紐を緩ませたら絨毯も出るかもしれません。そのやり方は、ペルシャ風に褒め倒さなあかんねん。あなたの目はアーモンドのようで・・・・
 平田  違いますよ。ザクロのような。
 ダリア 違うよ、ザクロは唇でしょう。
 平田  さっき控室で唇、言うてはりましたか、。
 ダリア 唇はザクロのように真っ赤で、ほっぺは・・・
 平田  ルビーのようで。
 ダリア 違う。そんな田舎物みたいな真っ赤なほっぺいうたらあかん。
 平田  ルビー違いますか。
 ダリア ほっぺは桃のようで、私はあなたの靴のしたの埃です、とか言って。(笑)
 河内  なんか漫才コンビが生まれた。
 平田 いや、さっき控室でしゃべってたら、おもろいんですよ。なにも言わんかったらきれいな人でミスユミバースかなと思うんやけど、話してみたら、もうその変の市場で走り回って、上は豹柄の下はシマウマのパンツ着てるようなおばちゃんそのものです。
 ダリア しゃべったらあかんの。
 平田 すごいんですわ、この人、しゃべったら、もうボロがでる。
 河内 その新しいアイディアを、たとえばイランもそうですし、それから中央アジア、そういうところのツアーのメニューというのが、まだまだないような気がするんです。
 ダリア そうなんですよ。誰も行ったことのないところへ旅する。そんなん、パリ、ロンドン、当たり前やん。
 平田 そうですね。もう皆さん行き慣れてはるわ、ハワイもね。
 ダリア  ほんまに、例えば、中央アジアってどこにあるか、皆さん、また帰られてから地図を広げてみてくださいね。2500年前、アケメネス朝ペルシャ帝国がありま して、その衛星国家やったんです。そのときに遊牧国家ができまして、たくさんの小さな部族国家が一つに統合してイランと呼んだんです。だから、今のウズベ キスタン、タジキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンの国名の尻尾についている「スタン」はペルシャ語で国という意味なんですね。昔 のイランの一衛星国家だったんです。でも、18世紀にペルシャは、皇帝ロシアと戦いがつづき、1917年のソビエト革命で中央アジアは完全に占領されてし まいました。、
 河内 それでロシア語を使うようになったわけ?
 ダリア ロシア革命で、ペルシャ語で書かれていた歴史の本が全部も焼かれたんですね。そして、すべてがロシア語に書き直されたんです。ペルシャの歴史が消しゴムで、霧の彼方になってしまったんです。
  しかし、1991年にソビエトも崩壊してしまったので、中央アジアは分解して、そのスタン、スタン、スタンと尻尾に付いている国は全部ペルシャの衛星国家 だったんです。それで私は、母と一緒に2年前にウズベキスタンの旅をしました。これもお勧めです。関西空港からウズベク・エアーで夜11時の便で、ウズベ キスタンに直行。夜の11時に乗るのがちょうど良いです。飛行機で寝て夜明けの5時に起きたらウズベキスタンの首都、タシュケントに到着。ウズベキスタン で驚いたのは、まだペルシャ語が通じることでした。ウズベキスタンのそれぞれの州にペルシャの詩人が付けた名前が多いんです。タシュケントは、「蜜のよう な友情」という意味です。もう少し南に行きますと、サマルカンド、みなさんサマルカンドは、ご存知だけど、それがウズベキスタンにあるって知ってました か。
 河内 サマルカンドの方が有名かもしれないね。
 ダリア  そうですね。シルクロードで栄えた国だったんですけど、その名前の意味は「「甘美な夜の物語」。ペルシャ文学でよく登場してくる街なんです。サマルカンド には天文台があるんですが、8世紀に世界で初めて地球儀を作った人や百科事典の編集者や、世界三大詩人といわれるようなすごい人たちの出身地なんです。西 洋の歴史では、イスラム黄金時代という風に紹介されているけれど、宗教以前に文明文化がそこにあったんです。これはペルシャが栄えたことなんです。イスラ ム一色というイメージが出来上がっていますが、たくさんのペルシャ人によってそこでいろんな文学、地理学、科学、幾何学がすごく発達したんです。シルク ロードが盛んだった時代から、すべてがヨーロッパ大陸に渡って完成されたんです。今でも遊牧民の羊飼いがまだ住んでいるんですよ。主食が、羊なんですけ ど、羊のラーメンが美味しかったんですよ。
 河内 羊のラーメン。
 ダリア そう、めっちゃおいしいんですよ、これが。ラーメンを持ってくるお嬢ちゃんたち、みんな一文字眉毛なんですね。眉毛がつながっているんです。中央アジアの美人の条件は眉毛が一本につながっていることですよ。繋がってない人は、書かなあかんねん、おばあちゃんとかは。
 平田  お婆ちゃんとか、書いたらええわけやね。
 ダリア 書かなかったらお嫁にいかないという言われがあって、みんな濃く書くんですよ。
 平田 お婆ちゃんらは、抜けてるから。
 ダリア  これも、ペルシャの文学に出てくるんですよ。一文字眉毛の美人という風に。すごいなって。だって、女性の眉毛って、70年第ではびっくりした眉毛が流行っ て、80年代ではブルック・シールズみたいは太い眉毛が流行って、今は、ちょっと細い眉毛に戻ってきてますよね。でも、中央アジアでは何千年も一文字眉毛 が流行って、これは伝統ですね。そのままシルクロードの昔を旅しているようでした。草原には羊たちがにいるんでけど、お尻についてる油をぷりんぷりんさし て歩いている姿は、8000年前もそのままやったと実感します。そのお尻の油でラグマンという羊のラーメンを作るんですけど、これも美味しいんです。
 河内 そのペルシャ、アケメネス朝もササン朝もみな、イスラム以前ですからね。
 ダリア  そうですね。サマルカンドもブハラも有名なんですが、ウズベキスタンの最南まで行き、テルメズという州があるんですが、ウズベキスタンとアフガニスタンの 国境なんです。ここの軍事の基地の中に仏教遺跡を発掘しているんです。シルクロードで仏教が栄えた時代のクシャン帝国(西暦一世紀)のお寺が出てきている んです。そのプロジェクトは日本がお金を出しているんでけど、私たちが行ったときに小さい仏像が出てきたんですよ。後で新聞にも出ましたけどね。そうやっ て、一ページ、一ページ、歴史が書かれていくんだなと感激しました。
 河内 せっか く空港からとんでいけるということでね。今度はちょっと逆に外から関空へ入ってくる人のことでお聞きしたいのは、たとえばイスラム教徒の人が関西空港へ降 り立った場合に、礼拝とかモスクね、これはやっぱりそっちを向いてやるのかしら。今は関空の中にはないんでしょね。
 ダリア どっち向いたらメッカなんでしょうね、地球は丸いんでけど。
 河内 あるんですか。できたんですね。モスクはあるんですね。
 ダリア えぅ、あるんですか。
 河内 それはもう、皆さんそこへ行ったら、ぱっとわかるわけですね。これからの時代は、宗教を空港なんかで無視できないという気がするんですよね。大体、外国の方が住む町というのは、学校と教会というか、これを抑えていないと住めないでしょう、そういう意味では。
 ダリア  そうですね。でも、やっぱり外国人が空港降り立って驚くことは、全部人間がこの島を埋めて、橋をかけたこと。前にイギリスのソロプティミスとのメンバーの 友人を奈良の大仏を観光しに連れていって「いや、そんなんええから橋が見たい、橋が、日本のテクノロジーは凄いわって。この橋、人間が作ったんやね」と驚 いていた。だから、贅沢ですよ。何かリクエストありませんかってね。これ以上どうするんですか。イランなんかまだ30年前間建ててる空港を開港もしてない んですよ。           

河内 私が審査員をいたしました「関西国際空港讃」(笑)、堀内孝雄さんの歌をちょっと聴いていただきたいんで。「翼をあげよう」読売の事務局の方が見つけていただきましたので、ちょっと流していただけますか。


(空港讃歌を場内放送)♪♪♪♪♪♪


これは「翼をあげよう」というタイトルで、堺市にお住まいの前山啓子さんという方が作詞され、大賞をとった歌なんですが、歌は堀内孝さんですが、この歌を有栖川さんが聞いていかがでしたか。(笑)
 有栖川 すみません、何年でしたっけ。
 河内  93年に募集して94年に選んだんです。
 有栖川 90年年代ですか。
 河内  そうそう、関空ができる直前ですからね。
  有栖川 何か韓流ドラマのテーマソングみたいな感じですね。
 河内  そんな感じで、ちょっと早すぎましたね。
 有栖川 早すぎたのか遅すぎたのか。(笑)
 河内 ちょっと今の韓流ドラマのイメージがすごく近いなという。
 有栖川 寒流ドラマが新しいか古いか微妙じゃないですか、イメージとぜんぜん違いました。空港の歌という感じがあまりなかったんですか。
 河内 そうなんです。まあ、しっとりした歌なんですけど。
 有栖川 まあ、いいでしょう。何かこう、もっと他にあって、これがあるのかなという。
 河内 これが大賞で、その次が「360度の思い」という二つがあったんですが。井野瀬さん、いかがでした今の。
 有栖川 藤田まことさんがやってられる刑事純情派って(笑)あれの何かテーマソングにしたら。(拍手)やっぱり皆さん、そうでうよね、今の曲は。
 河内 うーん。まあでも、テレビドラマのイメージに比較的近いですけどね。
 有栖川 はぐれ刑事・空港編。(笑)
 河内 でも、そういう設定のドラマが関空でできてもいいですけどね、。
 有栖川 い つも空港で健捕状を出す刑事のように。あれ変なんですよね。犯人がかわったと言って、じゃ空港で新婚旅行にこうとしている、「逮捕だ」とかいって、そんな すぐに逮捕状出てくるわけないのに、すぐ逮捕状をもって行きますよね。まいいんですけど。 平田 いや、よかったんですよ、本当に。(笑)
 河内 そうでしょう。
 平田 まあ、聴かしていただいて、私は大久保怜先生の気持ちで聴きました。よかったですよ、本当に。なかなか見事ですよ。でも、まあ盛り上がりがないですね。
 河内 ちょっとね。
 平田 もうちょっと何か、パーッとなって、シューっトおりるようなことで、シューッとやっぱり女性の心をキューとつかむような一フレーズが欲しかったですね。
 河内 ちょっとめりはりがきいてない。
 平田 次回に期待しましょう。(笑)今日は、醤油と年分と参加賞でどうぞ、ありがとうございました。(笑)
 有栖川 飛行機を見送っている感じはあるんですよ。こんな感じ。それも何か、空港の外で見送っているというか、金綱か何かで。飛行機にのって飛んでいくとかね。
 河内 ではない。
 有栖川 じゃないでしょう。乗れない。(笑)きょうものれなかったという感じがしませんか。
 河内 でも、何かこう、漫才の想いで見送っているという、そうね。
 有栖川 昭和の香りが、ちょっとしましたけど。
 河内 韓流ドラマそのものが、どっちかといったら日本人に受け入れられる設定のドラマが割と多いでしょう。昔の日本を見るような感じがありますけど、ダリアさんは。
 ダリア いや、もう大分聴きなれなあきません、これは。
 河内 そうですか。やっぱり何度も聴くことですね。(笑)いやいや、千昌夫さんの「星影のワルツ」なんかも全然ヒットしなかったんですよ。
 有栖川 さっき聞きました、それ。
 河内 何編もやっているうちに、そういうものかと、やっぱり大ヒットするんです。しつこくやったら、さっきの平田さんの意見で「念を押す」というね。くどいということはいかに大事かということがわかりました。
 平田 そうですね。ちょっと力がね。もうちょっと一歩でしたね、本当にね。惜しいとこまでいってるんですよ。それだけに残念です。
 有栖川 帰り、CD配ってくれるか、そんなことないですよね。
 河内 いや、ちょっともう一回、私も執念で売り込んでみたいと思っているんです。
 有栖川 今日は皆さんあモニターなんですね。
 河内 私、 関西空港ができる93年にフェスティバルホールの下のリサイタルホールで関西空港一年前のシンポジウムに出演しまして、そのときイーデス・ハンソンさんと か出たんですが、それから関空ができて5周年目のときは関空で、ここでまたやりまして、今回3回目なんですが、間違いなく使い勝手はどんどんよくなってき ていると思うし、国際的な評価も上がってきているんですよね。特に最近、シャワールームやキッズルームができたり、やっぱり非常にサービス精神はよくなっ てきていると思うんです。
 ただ、せっかくの機会ですので、皆さんからいろいろ提供いただきたい。まず有栖川さんから。
 有栖川 夫 からよく聞いているのは、パイロットからすると、多くの日本の空港とは違って、海上空港では騒音の問題とか地形の影響とかを受けにくくて非常に離発着はし やすい。ただし、三つも空港が関西に入り組んでいるので、それぞれに離発着しますから、それがちょっと危ないと思うこともあるというようなことはよく言っ ていますね。
 河内 まそれは関空の責任じゃないんだけどね。
 井野瀬 そうなんですよね。だから一つは、関空の何かもう一つ決定的な魅力というか、それがうまく外に出てないような気がするんです。
 河内 発信でしょ。
 井野瀬 そう、発信ができてないんですよ。
 河内 もっと出せますよね。
 井野瀬 関空は、実は魚もたくさん来るようになっているという。
 河内 だから、周りを殺風景なコンクリートの護岸じゃなくて、魚が寄りつきやすく設計されている。
 井野瀬 そうそう、そこにグラスボートも出ているというの、みなさん、ご存知でしたか、知らないでしょうね。
 河内 まだ知らない人の方が多いでしょう。
 井野瀬 だからやっぱり発信の仕方が、関西おしなべで、すべてにちょっと控え目なので、その部分が一つあるかな。 もう一つ、問題は何でだろうと思うのは、これだけ空港は使い勝手がよく、関西というか大阪の街があまり元気になってないということ。
 河内  構造変化が起こっているので、今まで元気だったのは元気じゃなくなっているものがありますけども、一方では、海外からの修学旅行客は今大阪が日本で群を抜 いて多いんですよ。こういうことは案外報道されていないけど陰ではいろんな努力をしているんですよ。だから、大阪そのものの産業構造の転換がずうっと来て いるので、その辺で情報発信が上手くかみ合っていないと思うんです。
 井野瀬  それはあります。空港を新しく作って成功しているところは、イメージが一八〇度変わっていますからね。イギリス・イングランドのバーミンガムは、十八世紀 後半の産業革命の中心地で、鉄鋼や重工業といった古い産業のイメージがありました。ところが今、バーミンガム国際空港は、ものすごい元気です。それはやは り文化発信なんです。イングランドの中心部中央部、外からのものを受け容れる機能がずば抜けていました。それが、マンチェスターやエジンバラなどローカル な空港の中継点の役割を果たすような形で急激に大きくなってきているんです。バーミンエアーが鉄道も停めるようにしたので、使い勝手もいい。
 河内 それはやっぱり、ブレア時代の戦略ですね。
 井野瀬   そうですね。北のほうでも、産業革命の町と歴史で習いましたが、文化を表に出して大きく転換していっています。「この町は昔、綿工業で盛んだった」といっ た歴史が売りになるんです。イギリスって、保存して見せるというやり方がすごくうまいんです。ナショナルトラストは、19世紀の終わりにイギリスから発祥 しましたが、歴史が古いということが売りになる。付加価値の付け方で、観光がすごく盛んになってくるんです。 河内 例えば、このすぐひざ元の泉佐野ね、 最近まちおこしがよく始まって、少し火がついてきたんですが、まだまだ商店街や駅前もさびれてますが、例えば、成田空港ですと、待ち時間に「成田不動尊・ 法勝寺へ案内する」ツアーができていますね。これは市川団十郎家の屋号・成田家のルーツにもなっているところです。関空近辺にも外国人に珍しい門前町は少 なからずあるはずです。
 井野瀬 そういうところは、もう少し知恵を絞りがいがありますね。
 有栖川 例えば、船の上から飛行機が飛んで行くのを正面から見られるツアーとか。
 河内  そういうツアーはないのかしらね。
 有栖川 ないんですかね。聞いたことないんですけど。
 河内 空港を見るとか、そんなんはあるんですか。
 平田 いや、もうそれやったら、先生、作らせていただきますよ。(笑)
 有栖川 そうですか。
 平田 大型クルーザーの会社も知っていますんで、ここまでちょっと来て、先生が近づけ言うとこまでちかづいきます。(笑)
 有栖川 いや、だれでもそんなんできると思います。「ヨン様と関空を見る」でも何でもええですけど。
 平田 そうさせてもらいます。
 河内 でも、もうヨン様もね、ちょっと。
 平田 自分がいつもヨン様って言うくせに。(笑)
 河内 次の
 平田 まだいけてるんですよ。ずっと永遠の恋人なんです。それ言うたら怒る人がいっぱいおるんです。
 河内 すみません。
 平田  見せ方って、さっき話しがありましたけれども、すごいものはすごい、いちばん本当にすごいのは、もっとすごいように見えるとか、そんなふうなのがあっても いいのに、ここ、すごいんだなと頭で考えたら凄いけど、何か20メートルぐらいの深さの海を産めてつくってるから、頭で想像して凄いなというんだけど、見 て本当に「ああ」というスポットがあればいいのになというのはあります。
 河内 例えば、北海道の旭山動物園ですが、あれでも同じ動物でも見せ方を変えると。
 有栖川 なるほど、旭山動物園の話に飛ぶとは思いませんでしたけど、そういうものですよね。
 河内 つまり、その動物の全然違う見せ方をすると、がらっとよく分りますからね。
 有栖川 そうですね。だから見慣れたオットセイでも、また感動したりしますからね。 河内 というのは、あれはあの動物の特性をいちばん生かすわけよう。
 有栖川 そうです。
 河内 みんなそれを見せていないということだから、関空の特性、魅力というのは、僕がさっき行ったように空と海とか、いろんなことがあると思うんですが、
 有栖川 逆に使い勝手は文句ないですから、これ以上どうしてほしいってないわけですよ。それ以外の部分で、あとはもっと便数が増えて、タシュケントへ直行で飛んでいるところはとてもいいですね。
 河内 今は大阪市内にも、海外の大学の分校がどんどんラッシュしているんですが、たとえば、辻調理師学校みたいなのがありますね。それで料理を勧める人が大阪に来ますね。たとえば、カリスマ添乗員の学校みたいなんは、そういうのはないんですか。
 平田 いやいや、作りたいと思うんですけどね。
 河内 空港に、そういう学校を作って校長先生になられたらどうですか。
 平田 いや、もうそれやったら来させていただきます。初代校長ですね。
 河内 サービス業というのは、まだそこまで本当に大真面目に考えられていないと思います。
 平田 まだ産業としては、ある位置が低いですからね。利潤も薄いでしょうし。ほとんどもうかってません。でも7万9000円のソウルだけはもうかりますわ。(笑)
 河内 やっぱりそうですか。好きやないとできませんね。
 平田 本当に好きでやらせていただいているんでしょうね。やっぱり接待するのが好きやいうて、お客さんがよろこんでいただくことが自分の喜びとおもえるいう、それは思います。
 河内 すごいですね。法廷通訳はどうですか、まだそこまでいかない。
 ダリア リクエストですか?
 河内 いやいや好きな仕事。
 ダリア 好きな・・・
 河内  通訳を好きでやっているかどうか。
 ダリア もちろんです。法廷や警察署で小説をライブで見ているわけですから、私の推理は本物です。
 河内 やっぱりその一人ひとりの重い人生が奥にあるわけですからね。そろそろダリアさんも作家になってほしいなと思ってね。
 ダリア そのうち、いろいろばらしますよ。
 河内 まだちょっと生々しいからね。
 ダリア 場所や、日にち、名前を変えて、本当に起こったエピソードだけを書こうと考えています。入管とかでも働いています。日本の玄関でいったい何が起こっているのか、凄まじいです。
 河内 それを脚色したら関空発のドラマや映画にになるわけですよ。
 ダリア 外国人がどのような状況で日本にさよならをつけて強制送還されていくか。
 河内 涙と感動のお別れのドラマにしていただかんと。
 ダリア ほんまに!だいたい、法廷ではジャーナリストが傍聴席に座って最後の判決だけ聞いて、パパパッと走って、6時のニュースに間に合うように、判決だけ出るんです。
 河内 有栖川さん、なにかしゃべりたい?
 有栖川 そのドラマのバックに、さっきの関空の歌がかぶって、かぶさってくる。
 河内 これは、なかなか合いますね。
 有栖川 そこで合うたらあかんやなと思うんですよ。
 河内 さりげない哀愁が漂う。日本は、外国から人来る人が少ないでしょう。出て行くばっかりになっていますよね。
 平田 入ってくるのは世界中の料理。大阪で世界中一周いうのもできますからね。
 河内 ダリアさんなんか、宗教上の問題があるでしょう。
 ダリア いや、私はただ個人的に豚が嫌いだけで。
 河内 宗教上の理由じゃなくて
 ダリア はい、宗教、国籍、母国語、年齢、不明ということです。
 河内 ユダヤ教でもないんですか。
 ダリア 一応。
 河内 一応、もう日本人になり切ってますよ。
 ダリア いや、大阪人、大阪人ですねん。
 河内 でも日本の食べ物で好きなものって、どういうもの?
 ダリア すしです。これはイスラエルでもすしが流行ってね。イスラエルのテレビでもコメディーで、ある女の子がスパイシーな羊の串焼きが食べたいわと男の子を誘ったら「いや、なにこの子、ダサイ」と嫌がられて、男の子が一人ですしを食べに行くという場面があったくらい。


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 河内 ちょっと残り時間が少なくなってまいりましたが、お得な関空クラブカードを導入しまして、シャワールーム、美容室、ネイルサロンとか、こういうものがあるんです。それから、ペット関係は、ペットを預かってくれるし。
 有栖川 犬や猫やら海外旅行へ行くときに、ペットホテルへ前日から預けた経験がありますけど、そういう施役があるから、最後まで側にいられて、帰ってきたら直に犬や猫と空港で会える。
 河内 まあ猫の管理は難しいというだけど、モスクワの猫のサーカスがあるじゃないですか、あれはよく僕・・・・。
 有栖川 話が飛びますね。
 河内 よくあれ連れて来れると思うんですが、あれも要するに癖せを付けるんですね。調教というのは猫できないんですって。違う側面に目を付けたらパッと変わるようになるのでものが劇的に変わるときもあります。
 平田  いや、いろいろ関西空港で遊ぼういうような旅行も、旅行に行く前に空港でちょっと遊んでから行こうかと。出発の2時間前に集合なんですけど、7時間ぐらい 前に集合してもろうて遊ぶ場があったらいいなど思いますね。大阪のグルメスポットの蛸焼きやお好み焼きのいろんなところが入った方が。 名古屋のセントレ アも元気ですもんね。いろいろなお土産とか、買えんようなお土産全部置いてあります。手羽先も何でもおいて凄いレストランもある。大阪もそれちょっと入れ て、大阪の博覧会いうか、食文化を知らしめるよな、こてこてにしてあげてほしいです。
 河内 有栖川さんのほうから何か提案ありませんか、文化イベント的な提案。
 有栖川 空港は、こてこてではんくてもいいと思うんですけども。
 平田 先生今まで積み上げてきたことがどないなるんですか、先生。崩さんといて、先生。
 有栖川 いろんなイメージがありますよね。
 河内 まあ結構おしゃれな空港だと私は思うんだけども。
 有栖川 デ ザインとかすごく好きですもん。日本の玄関ですけど、得に関空の玄関として、これだけのものがあったら立派なもんだと、第2滑走路もできますし。関空に来 て、関空でしか見られないものって、さっきダリアさんの話にあったけど、はっきり言って少しずつ沈んでいっていますよね。それをテコ入れするための技術で やっているわけですね。それで少し経費もかかっているわけだけど、それって、どういう仕組みになっているんだろうというのが、私たちよく分らないんです よ。
 河内 それを見るツアー。
 井野瀬 そう。
 河内 すごいですね。
 有栖川 ジャッキ・アップを見せるツアー。
 河内  そのツアーというのは、なかなかしんどいですね。
 井野瀬 でも関西へきて、時間が2時間なり、あるわけで、チェックインした後も少しあるわけで、その間、ちょっと見に言ってみたい。何センチ減ってるんやろうという感じやと思いますが、平田さん、いかがですか。。
 平田  いやいや、私のツアーの種類が多いほどいいですよね。売れば商品が多いほうがいい、売らせていただきます。そういうフアンをあおるというのも裏側から見る というのもいいでしょう。でも着陸してからにしましょう。そんな見たら飛んでられへん、着陸できるかなと思いますからね。
 河内 関空が非常に安心できる空港だから、こういう冗談も言えるわけですけれども、ダリアさん、最後に。
 ダリア いちばん素敵に思った空港は、サンフランシスコだったんですけど、美術館みたいだったんですよ。本当に美術展示をして、それこそ外国人から見たら関西空港も、そういう日本的な美術展示をすると良いと思います。
 河内 今度、ジブリのお店が出来ているんですけど、もともと文化発信地としては、それぐらいの夢をもってもいいなと思いますね。たしか関空には、スカイミュジアムがありますね。
 ダリア  いろんな飛行機の模型を見れるミュジアムがありますね。バスを載って行かないといけないんだけど。関空は、またライティングもよく考えている。パスポート 忘れてないかな、切符持ってきたかな、と不安の気持を和らげるライティングになっています。そんなところで、平田さんのグループがばたばたしてたら、み ちゃ邪魔やねんけど。
 平田 何でうちのグループだけが、そんなんするんですか。おばちゃんになってはりますやんか、はっきり言う人やな、この人。
 ダリア 中身だけがおばはんよ。
 河内  時間がきてしまいましたけれえど、皆さんこれから各自の立場で何らかの形で関西空港と関わって発信していただければと思っています。 私は、なんとしても 先ほどの歌をもう一度ヒットさせてみたい。できたらサントゥールで演奏してみたら、ちょっと違う繊細な感じに聴こえるんじゃないかなと。
 平田 惜しいところまでいってるんですけどね。何回も言いますが。
 ダリア あとリメークという手もあります。
 河内 では有栖川さんに締めていただきます。
 有栖川 締めますと言うか、我々退場するときにもう一回流れるとか、そういうことはないんでしょうか。(笑)
 河内 無理みたいです、ちょっと。
 有栖川 ほっとしました。(笑)私は、ですから関空はこれからますます楽しいところになり、よい旅をして楽しませてもらいたいというのと、関空ミステリーですね。飛行機に乗りたくなるようなミステリーを書きたい。
 河内 最近登場人物が有栖川アリスなんて名前が出てきているんですが、
 有栖川 よく登場します。
 河内 そうすると、有栖川アリスという主人公が出てくる関空ドラマにあの歌がかかるといいわけです。とちょっと話がくどくなりましたが、以上で終わらせていただきます。(拍手)
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ペルシャ古典楽器演奏サントゥール演奏 「飛行」

Kansaiairportsanourconcert_1

ペルシャ古典楽器サントゥール演奏者
プーリー・アナビアンさん、河村真衣さんへの質問

総合司会 芳賀めぐみ氏

 司会 ここで、お二人にお話を伺いたいと思います。まず、サントゥールという楽器ですが、会場の皆さまも今日初めて、その音色を聞いたと思います。この楽器の説明をプーリーさんに少しお願い致します。
 プーリー この楽器は、ピアノのお祖父ちゃんです。ペルシャからヨーロッパへ渡って足と蓋が付いてピアノになりました。
 司会 ピアノの原型ということですね。
 プーリー こ の楽器が、多分ここから見えないとおもいますが、真衣さん、ちょっと見せてください。72弦あって、3オクターブです。弦を支えるコースが左右9コで、 18コースになり、弦が交差しています。今、この非常に軽い一グラムの撥の先には、フェルトが付いています。この楽器は胡桃の木で出来ています。胡桃の木 が最も響きがいいからです。イランは、サントゥールだけではなく、楽器の種類がたくさんあり、私がコオディネートした浜松楽器博物館のペルシャ・コレク ションには、50種類もの楽器があります。
 イランの音楽の歴史が5000年でが、もうひとつ、ちょっと説明があります。みなさん、ピアノを持っていらっしゃると思うけど、みたことあるでしょう、1オクターブで12音あります。ペルシャ音楽では、1オクターブの中に24音があります。
 司会 ということはピアノの2倍の音があるということですね。
 プーリー そ うです。ハーフトンよりは、4分の1トーンがあります。だから今日演奏したのは、こういうハーフトーンの音が入っていますから、ちょっとヨーロッパ・クラ シック音楽と違います。もちろんヨーロッパのメジャーとマイナーの旋法もありますが基本の12旋法から、いっぱいいっぱい更なる旋法が生まれてきて、実は 数え切れないほどの旋法があります。
 司会 先ほどの神秘的な音楽に、それだけ細かい音が出せるということでですね。
 プーリー まだ、いろんな説明があるんですけれども、とても専門的になります。
 司会 ありがとうございます。次は河村真衣さんにお伺いいたします。河村さん、サントゥールのどのようなところに惹かれて、この道に進まれたのでしょうか。
 河村 私が大阪音楽大学で在学中に、たまたま、プーリーさんのサントゥールを教えてくれる授業をとって、サントゥールという楽器を見たこともなければ、聞いたこともないうちに選択し、そこで出会ったのがきっかけです。やっぱり、その独特の響きと繊細な美しさに惹かれました。
 司会 河村さんはサントゥールの本場、イランにも旅をされて、そちらでも演奏されているという風にお伺いしましたが、そのときの感想などを、お聞かせいただけますか。
 河村 やはり日本人が演奏するということで、夏だったので浴衣を着て演奏したんです。でも、イランでは女性はベールを被らないといけないんです。足もはだしではいけないと言われたので、ベールと足袋の恰好で演奏しました。
 司会 浴衣に足袋にベールですか、尼さんみたいな恰好ですね。では、プーリーさん、河村さん、ありがとうございました。


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SPECIAL THANKS 文化プロドゥーサー 河内厚郎さん

            読売新聞記者 坪井恒彦さん


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