2016年5月20日の講演
「なにわのペルシャ商人が語る文化のマーケティング
~そして技術大国イスラエルのほやほやお土産話」
どえらい題名でんな~
大阪文具会に招かれ、イスラエルの旗も飾っていただいて、企業向けのお話を1時間いたしました。
講演会の概略を纏めると
イスラエルは年中戦時下の小さな砂漠国家にあっても、平和な大国より様々な分野で大成功しているのは何故か。
国を守るために軍事技術のレベルを高めなければ存在できないからです。危機意識から一人一人の能力を最大に伸ばす育成を幼稚園から始めます。
その背後にある教育は、旧約聖書の解釈学であるタルムード。聖書物語に基づいてディスカッションをしながら、色んな角度から見る目を育てます。聖書から引き出した問題をどう解決するか問われるのです。今流行しているソリューション企業はタルムードの問題解決法と同じことをしているのです。
砂漠から世界中へ、大阪の街角のスーパーまで、オレンジやスイティーを並べるイスラエル人は、根幹に旧約聖書の解釈学であるタルムードによる考え方が奇跡のような成果を産み出します。タルムードには何千年の知恵の結集がありながらも、そこには白紙のページがあります。タルムードを学ぶ弟子は、白いページに新しい考えを書き込まなければならからです。安息日の午前中にタルムードの生徒がダイニングテーブルを囲み、現代の問題をテーマに一人一人がオリジナリティーを求められます。論争が始まり、結論が纏まらなくなると、白紙に戻します。その
イスラエルは、敵に囲まれて 年中テロや戦争と向き合い、人々は常に緊張感のなかで暮らしています。日本は、海に囲まれ、組織に守られ、仕来りに縛られ、失敗が許されない責任の重圧下におかれています。
イスラエルの国や企業は、技術革新のために失敗資金が用意されているので、自由な環境のなかで恐れずに想像力を発揮できるのです。
~イスラエルのメンタリティー~
・知的好奇心を持つ、
・外国とコミュニケーションをとる、
・国を超えてグローバルな発想で考える
世界一優秀な軍事技術からIT産業国家と農業国家が起こされるのです。数えきれないほどの分野に広がり、ノーベル賞と数学のフィールズ賞を世界でもっとも多く受けているユダヤ、イスラエル人のリストは多く、紹介し切れないほどです。
講演が終わると次は二次会。夕食と飲み会でも引き続きイスラエルのお話で盛り上がりました。イスラエルの本音の文化は関西人にはよう通じる。失礼なぐらい率直なこと言って笑いをとるところ。「正直」を重んじることがほんまの親切。キツイようやけど、暖かい心で言うと許される。みなさまは親切心で私の料理本「千夜一夜のおもてなし ~ ダリアのペルシャ料理」を買ってくださいました。
2016年12月1日、大阪の下町で、再びイスラエルのお話をすることになりました。
「美女とオヤジの会」にて
丸紅株式会社の商社マンでアラブ諸国を歩きまわった岩井定敬さんがご挨拶してくださいました。
~頓智に富んだイスラエルの知恵袋~
*有史以来ユダヤ人の識字率はほぼ100%。
”読書の民”としても知られています。本は、知識を増やし、想像力を掻き立てる。
知識と情報は真の武器です。
国は奪われる。金は奪われる。でも知識だけは奪えない。苦い長い人生経験でユダヤ人は知った。だからいつも頭を小さな帽子で頭を守ります。知識を奪われないために。ハゲ隠しにも役立ちます。
*教育だけでは人は豊かな人格をもてない。
教育は、学校の机で身につけるもの。
知恵は、家庭のディナーテーブルで身につけるもの。
*安息日は必ず家庭で過ごし、家族でいろんなこと話し合ったり旧約聖書を読む。
*キャベツの中に住んでいる虫は、キャベツが全世界と思い込んでいる。
*教育があっても教養のない人は落伍していく。
教育のある人に多いのは、情報を頭に詰めるだけで理屈っぽい。
教養のある人は情報を消化して真実を面白く語れる人。
*ユダヤ人は大事な歴史のできごとを忘れないように宗教行事に組み入れ、体験しながら次の世代に伝えていく。
冬になると光の祭がやってくる。紀元前二世紀、ヘレニズム文明が広まり、ユダヤの掟が禁じられ、割礼や安息日を守ることや律法の勉強が禁じられた。ギリシャ軍がユダヤ神殿を占拠して、燭台に炎を灯すための油壷をぜんぶ壊してしまった。ユダヤ人がギリシャ軍をやっつけて神殿を解放しとき、ひとつだけ油壷が見つかった。一日分の油しか入っていなかったのに8日間も燃えつづけた。その炎は、ユダヤ人が滅びない証だった。この奇跡を記念して、ハヌカ祭では毎晩、燭台の8本のキャンドルに一本ずつ灯してゆく。
過ぎ越し祭りです。モーセがシナイ山で十戒を受け、エジプトから逃げて、シナイ山で40年間砂漠をさ迷ったとき、それを私たちが思い出すために、わざわざ、パンの代わりにほんとうにまずいクラッカーを一週間食べます。先祖がどれだけ苦労して砂漠をさ迷ったか、パンを発酵させる時間がなく、まずいパンを食べて我慢していたか一週間体験し、思い出します。この約束された土地に住めるのは先祖の忍耐のお陰さまです。
パンを自然酵母で毎日のように焼いているものとして、ひとつ疑問があります。パンの生地が発酵する温度は、35度から40度まで、1時間で2倍に膨らむはずです。砂漠を彷徨ったモーセの仲間は、パンの生地を砂漠で持ち歩いているだけで、いやでも膨らんでいったはずです。なんで40年間もパンを食べられへんかってん?パンを作ったことのない人が聖書物語を書いたのとちゃうか?
日本は、夏祭りが多いけれど、イスラエルは秋祭りが連続あります。お正月、断食、秋はお祭りのために商売も仕事も止まり、お料理とパーティーの準備ばかりでくたびれます。宴会の後の掃除もたいへん。パーティー、パーティーで、早く日常生活に戻りたいとみんな嘆きます。聖書の祭りの連続が終わると、みんな自分のお仕事に戻ってほっとします。
祇園祭りとイスラエルに深いかかわりがあります。祗園祭のメインである山鉾巡行が行われる7月17日。この日は、イスラエルでノアの箱舟がアララテ山の頂上に流れて、神の救いを確認したお祝いの日。 この祭の原点が「シオン祭」とも言われています。そして祭りが大好きなのも共通点。
ヘブライ語と日本語の類語。祭りでダシを運ぶとき「えっさ」という掛け声がありますね、これも日本語とヘブライ語の類語です。担ぐという意味です。他にも類語がいっぱいあります。あんた、という言葉、アラム語からきています。アラビア語ではアンタのことをアンタといい、ヘブライ語ではアタといいます。あと、だべるもそうです。話すということです。ばれるもそうです。ヘブライ語では明らかになるという意味です。乳と蜜が流れる国の蜜もヘブライ語です。
そして、毎週金曜日に安息日がやてきます。仕事が禁止で、金曜の夜の大晩餐会をします。安息日のお蔭で、家族はせめて一週間に一度だけ一緒にディナーをし、深夜までディスカッションが続きます。それぞれが情報をどう消化するか、議論することが大好きなのです。
イスラエルは、ハイテク技術で古代の聖書の国を現代に蘇らせた。
聖書の言葉は知識です。イスラエルが世界で対外諜報機関がのなかで遥かに上回る理由は、いちばん強い武器は情報と知恵だからです。
私達もディナーテーブルで議論が果てしなくつづき、それでも消化不良を起こして、また次のアンコールイベントをすることになりました。
次は北野町のアナビアン母娘亭(我が家のリビングルーム)でイスラエル伝統的な料理の数々と年越しスイーツをいただき、イスラエルの歴史と音楽に3時間どっぷり触れることができます。
12時から始まったパーティが12時に終えました!エレベーターのドアが閉まる最後の瞬間まで話が尽きませんでした。
講演会「乳と密が流れる聖書の国”が技術大国に発展」
そして、母娘で作ったランチ
イスラエルは、2000年間世界中に散らばっていたユダヤ人が約束された地に戻ってきたので、食文化がすごく幅広く、ぜんぶは紹介しきれないんですね。とにかく世界中の料理をみんな持ち込んでいるんですよ。
日本の生きる糧はご飯。イスラエルの生きる糧はパン。日本は雨がよく降り、海に囲まれた平和な国。イスラエルは四国ほどの面積しかない砂漠国家。敵に囲まれて年中テロや戦争と向き合い、人々は常に緊張感のなかで暮らしています。でも砂漠に虹色の花を咲せ、イスラエル料理も踏んだんで色とりどり。
イスラエルは、2000年間世界中に散らばっていたユダヤ人が約束された地に戻ってきたので、食文化がすごく幅広く、ぜんぶは紹介しきれないんですね。世界中の料理をみんな持ち込んで。アラブからヨーロッパの料理まで、最近はイスラエル寿司も大人気。ハリケーン寿司、台風寿司など、とてもクリエイティブな寿司が流行っているのです。
では、イスラエル料理を紹介します。黒いオリーブダでビデの星が描かれているお皿はタヒニ、レモンとにんにく味の胡麻ペーストです。アラブ料理で、イスラエルからアラブ諸国のどこのレストランに行ってもこれが前菜に出てきます。パンですくって食べます。
タヒニと一緒に前菜で出てくるのが、色とりどりのサラダ。上の写真はコールスロー。千切りのキャベツにマヨネーズの代わりにヨーグルト、バージンオリーブオイル、ディルというハーブで和えました。濃厚で健康的。
秋にお正月がやってきます。果物が実る季節を新年とします。
スイートな年になるようにフルーツを使ってお料理をします。
前にあるのはナッツとザクロペーストで煮込んだ羊のミートボール。
一回では、お皿に全部の料理がのり切りません。
スペシャルゲスト:シタール演奏家
サントゥールでユダヤメロディー
手作りスイートと果物をバックに演奏
内海恵とプーリー・アナビアンのドゥエット
お料理、テーブルのデコレーション、片付けの後に演奏。
プーリー・アナビアンは、一人で何役も演じます。
ピアノ演奏の後は、ピアノの祖先サントゥール演奏です。
千手観音の手で
72弦のサントゥールと1.5グラムのバチを紹介してから、プーリー・アナビアンは、イスラエルのお話をしました。1967年の戦争体験。
演奏の後はデザートタイム
デザートは、「光の祭り」に食べるジャム入りドーナッツ。クリスマスと同じ時期に巡ってくるので、私は「年越しドータンツ」と勝手に呼んでいます。三日月型に作りました。
三日月ドーナッツ、ビーツ入りチョコレートケーキ、フルーツとナッツケーキ、お人形
友人たちが持ってきてくれた花や果物でデザートテーブルを飾りました。
ランチパーティーが、アフターヌーンティーになり、ついにはディナーになりました。
12時間パーティーでした!